口臭

口臭の原因

口臭の原因
口臭は呼気にニオイがあり、本人や周囲の人が不快に感じる症状です。
 
口臭の中にも一時的に強くなる生理的な口臭と、舌の異常や歯周病など口内トラブルがもとになっている口臭とに分かれます。

口内細菌によるタンパク質の分解

口臭の不快なにおいの原因は、ほとんどがタンパク質の分解によって起きるガスだと言われています。
 
口の中には剥がれ落ちた粘膜のカス、唾液、食べ物のカスなどが溜まってしまいます。
これらの中にはタンパク質が含まれており、口内の細菌が分解・発酵を行うのです。
このときに発生するガスには、以下のような種類があります。
  • 玉ねぎが腐ったようなニオイを出す「メチルメルカプタン」
  • 腐卵臭のようなニオイを出す「硫化水素」
  • キャベツが腐ったようなニオイを出す「ジメチルサルファイド」
なかでも「メチルメルカプタン」は、口臭の強弱と相関関係があると知られています。

唾液の減少

誰しもある程度の口臭はあります。
 
その強弱に大きく作用するのが唾液です。
唾液には口内の洗浄・自浄作用があり、唾液の分泌が増えると口臭の抑制につながるのです。
何かを噛んだり話したりして唾液腺が刺激されると、唾液が分泌されます。
 
ですが一時的に唾液が減ると、自浄作用が低下すると同時にタンパク質を分解する細菌が増加。
口臭が濃縮されてしまうので、不快なニオイになってしまいます。
朝起きた時や、しばらく食事をしていない時
朝起きた時の口臭が気になる方は多いのでは?
睡眠中は唾液腺への刺激がなく、口呼吸をしている方は口の中が乾燥状態に陥ります。
そのため朝の口臭は、1日のなかでも一番強いという方が多いのです。
 
同様の環境になりやすい、長時間食事をしていないときにも口臭が強くなります。
緊張した時や、ストレスがある時
唾液の分泌を調整しているのは、自律神経のなかの副交感神経です。
副交感神経はリラックスしている時に働く神経。
緊張状態には交感神経が優位になり、副交感神経が働きにくくなってしまうのです。
そのため唾液の分泌が減少し、口臭が強くなる原因となります。
ホルモンが変調した時
特に女性ホルモンが変調するときに、口臭が強くなると知られています。
妊娠時や月経時、また思春期・更年期などは、女性ホルモンが大きく変調するため口臭が気になる方が増えるのだとか。
精神的に不安定になりやすいことが影響し唾液が減ることや、ホルモンが変化することによって唾液が濃くなることが原因だと考えられています。

細菌の温床

みなさんは舌のケアをしていますか?
実は舌に溜まる「舌苔」が、口臭の原因かもしれません。
また歯周病も同様に、口臭の大きな原因の可能性があります。
舌苔
強い口臭の原因として一番多いとされているのが「舌苔」。
舌についた白っぽい汚れのことで、食べ物や粘膜、細菌のカスがついた物です。
口臭を発生させる細菌や、タンパク質が多く含まれているのです。
 
舌苔は、健康な人にもあります。
ですが口の中の乾燥や体調不良、胃腸の病気などがあると厚くなってしまいます。
特に胃腸の調子が悪いときは、舌苔を厚くして舌の感覚を鈍らせることで食欲減退・食べる量を減らすと考えられている「自己防衛」の一種なのです。
歯周病
舌苔の次点で多いのが、歯周病が原因となった口臭です。
歯周病によって歯垢(プラーク)が溜まりますが、プラークには多量の細菌とタンパク質が含まれています。
炎症が起き、同時にタンパク質が多量に分解されているため、強い口臭が起きてしまうのです。

血液中の成分が臭うときもある

口臭の原因が、口以外の場合もあります。
ニオイの強い食事や、飲酒のあと
ニンニク料理を食べた後に口が臭くなる、というのは誰しも経験がありますよね。
 
ニンニクやニラなどのニオイの強いものを食べた後や飲酒後の口臭は、血液中のニオイの素が原因。
消化吸収された食べ物・飲み物が血液中に移行し、肺を通して口や鼻から出てきてしまうのです。
空腹時や、疲れたとき
空腹状態や体が疲れていると、肝臓がエネルギーを供給しようと働きます。
これによって生まれる「ケトン体」は、増えすぎると甘酸っぱいニオイのガス(アセトン)となって肺から出てきてしまうのです。
このニオイが原因となり、口臭が強くなっている可能性があります。
口以外の病気が原因となることも
上記以外にも、病気が原因となって口臭を引き起こすケースが見受けられます。
 
例えば「扁桃腺炎」「慢性鼻炎」「副鼻腔炎(蓄膿症)」などの鼻や喉に起きる炎症。
これらによって口の中にまで膿が流れ込んでしまうと、口臭の原因となります。
また「逆流性食道炎」が起きていると、胃液が逆流することで口が臭ってしまいます。
 
ほかにも、全身の病気が原因の「代謝産物」が血液に増え、ニオイが強くなることがわかっています。
代表的な例には肝機能低下で起きるアミン臭、腎機能低下に伴うアンモニア臭、糖尿病が原因のアセトン臭、悪性腫瘍による腐敗臭などがあります。